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スポーツと平和


長く激しい国境紛争と内戦を経て2011年にスーダン共和国から独立した南スーダン共和国。その政府の要人が吹田市を訪れたのは一昨年のことでした。「独立は果たしたが国民の心の傷は深い。スポーツを復興の柱に据えるため、吹田市からスポーツの振興と教育の知恵を学びたい」とのことでした。

あえて経済成長をキーワードにしない復興戦略に感銘を受けたことを覚えています。私からは「スポーツによって、フェアープレー精神や忍耐力、そして思いやりの心が育まれます。幼少期の人格形成は国造りの基盤に欠かせません。スポーツを続ける環境を支えているのは地域であり市民です。」とお伝えしました。

今、南スーダン共和国で再び激しい内戦が続いています。彼らが夢見た未来を思うと心が痛みます。同時に、我が国の平和な社会と、スポーツや文化によってもたらされる国際平和の恩恵に感謝の念を抱かずにはいられません。

私がスポーツや文化の活動に対して「費用対効果」論で斬り込まない理由もそこにあります。「損得勘定」も大切ですが、見えない価値に多くの人が豊かさを感じる社会、そのような「成熟社会」をめざします。

(2017.2)



大切にしていることば(その3)


「もし明日が世界の終わりだとしても、私は今日リンゴの木を植える」

年初に「終わり」を話題にするのもなんですが、これはマルティン・ルターの言葉です。この非論理的な文章を前にすると、長年効率的で意味のある仕事を追い求めてきた私の心はざわつきます。

今あなたが懸命に省エネに取り組んだところで、地球の温室効果ガスの量にさしたる変化はなく、温暖化が止まることはありません。それでも無駄なエネルギーを使わずに暮らす人、ある意味リンゴの木を植える人がいます。一方で、自分一人が我慢したところでどうなるわけでもなく、好きに生きた方が得やん、と思う人もいるでしょう。

人それぞれ異なる暮らしを営む中で、皆が皆、利他的に生きなければならないという考えも、誰もが利己的に生きていいという考えも、正しいとは思えません。

少子化、超高齢社会、人口減少、経済成長の限界、…どんな状況においても、それぞれができる範囲で力を持ち寄り、ちょっぴり利他的に生きることで、温かく豊かな未来につなげることができる、吹田市民ならできる、と小さな確信を持っています。

(2017.1)



時は流れ、時に流され


「え?もう年末?」「一年が経つのは早いねぇ」という会話が聞こえてきます。私も同感です。

先日、上京する新幹線で、「人はそれぞれにメトロノームのような体内リズムを持っていて、それが年齢を重ねるにつれスローになってくるのではないか」という仮説に思い至りました。それを裏付けるように…聴く音楽がアップテンポから次第にゆったりとした曲に変わってきた。にぎやかな都会より、自然豊かな郊外を好むようになった。変わるものを追いかけることから、変わらないものに興味が移ってきた、などなど。

体内リズムが減速するにつれ、一定の速度で流れる「時」が相対的に速く感じ始め、自分のテンポに合ったものを快く感じるようになる、ということではないでしょうか。生まれてから積み重ねる40年より、カウントダウンに入る40年の方が当然短く感じるのです。早すぎるテンポや不規則なリズムが次第に洗練され、ゆったりと調和したリズムになることを「成熟」と言うのでしょう。

私を乗せた「のぞみ」は、そんなことには無頓着に時速270キロでひた走ります。ぼんやりこんなことを考えているうちに東京駅に着いてしまいました。

(2016.12)



勢いのある街


あるビジネス誌が最新の統計データにより、全国1711自治体「勢いのある街」ランキングベスト160(注)を発表しました。これは、人口、所得、事業所、地価の増加率など8項目で評価しランキングしたものです。驚くことにわが吹田は全国10位、特別区を除く人口20万人以上の自治体では、つくば市と並び全国ダントツの「勢いのある街」に位置づけられています。

近隣の市長さんから、よく「吹田市さんはよろしいなぁ」と声をかけられます。吹田に住み、働き続けてきた私としては、正直そこまでの実感はありません。ただ、大阪府の人口が増加から減少に転じ、府内でこのランキングに入る自治体が大阪市(75位)、豊中市(139位)だけという状況を見ると、そのように思われるのでしょう。

街に“勢い”があることはとてもいいことです。一方、どのような状況においても、「市民の暮らしをどうお守りしていくか」を考え、着実に実行することも自治体の大切な責務です。私は全国自治体のフロントランナーである吹田市だからこそ、この“勢い”を市民の「より良い暮らし」につなげていく、深い智恵が必要だと思うのです。

(注)週刊ダイヤモンド誌2016年3月26日号に掲載。統計データは2015年国勢調査速報値(2016年2月発表)。インターネットで見ることができます。「勢いのある街ランキング」で検索。

(2016.11)



3褒め 1アドバイス


私たちは、「何かおかしい」「間違っている」ということに敏感ですね。それは、問題に素早く気づき、危険を回避することで命を守ってきたからなのでしょう。
「相手の欠点を指摘するなら、まずは褒めなさい。そうでなければあなたの言葉は相手の心に届きません。そもそも、相手の欠点より多くの良い点が見えない人に、アドバイスや指摘をする資格はないのです。」これは、以前テニスのコーチングを学んだ際に強く印象に残った教えです。
さらに具体的に「1つのアドバイスをする前に 3つ褒めてみてください。」これが「3褒め 1アドバイス」です。
世の中に完全な人や物事、行為はありません。その足りない部分を指摘することは簡単ですが、それだけでは問題を解決する「指導」にはなり得ません。スポーツ界でも、荒い言葉、大きな声で欠点を突くことが、相手の反省や変革、成長につながらないということが認識され、指導法も次第に変わってきました。
私はこの教えを大切にしながら3 人の子育てと仕事をしてきました。これからも、理性的に、利他的に、そして人の痛みに敏感に仕事を進めたい、生きていきたい、そう思うのです。

(2016.10)



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