Blog Archives

ありがとう


ある時期、テニスと野球に熱中していました。練習と試合で汗を流し、お土産といえば洗濯ものとトロフィー。おかげで健康と体力に恵まれた今がありますが、家族との週末を犠牲にしてきたことを反省しています。

とはいえ、出産と授乳以外全ての家事育児を分担してきました。なかなか手が出なかったのは料理でしたが、ある日思い立ち、料理本とにらめっこしながらロールキャベツに挑戦したのです。

ドキドキしながら食卓に出したところ「おいしい」と。その笑顔と「ありがとう、ごちそうさま」の言葉がくれたホッコリ感は新鮮でした。

自分も楽しみながら真剣に何かをして、しかも感謝の言葉をもらう。この喜びは、思いがけないプレゼントだからこそ、なのでしょう。

市民の方から職員に「ありがとう」をいただくことがあります。そのホッコリ感がどれほどのやりがいと誇りにつながっていることか。私たちからお礼を申し上げなければなりません。市役所の雰囲気が変わったね、という感想とともに、多くの「ありがとう」をいただいた一年でした。来年もさらに改革を重ね、皆さんのご期待にお応えできますように頑張ります。

(2017.12)



ガンジーの教え


インド独立の指導者ガンジーが残した「7つの社会的大罪」という言葉があります。理念なき政治・人格なき学識・道徳なきビジネスなどをあげており、「私たちを破壊するもの」と言われています。100年近く前の言葉ですが、改めて読むと現代社会が抱える多様な問題に驚くほど当てはまることに気づきます。ガンジーがいた時代から、いやもっと以前から私たちの社会は、これらに悩まされていたのだなぁと、ため息が出ます。

ガンジーは、政治や学識、ビジネスそのものではなく、それに関わる者の姿勢や人格を問うています。行動基準とも言い換えることができますが、最低限備えるべきものが、倫理でありモラル、品性なのでしょう。

ガンジーの頃とは社会の構造が劇的に変化した現代に生きる私たちになお、これらの言葉は鋭く突き刺さります。

もし私が一つ付け加えるなら、8つめの罪は「情(愛)なき行政」です。市民やまちへの愛情なくして市政を進めることはできません。

「そこにモラルはあるか 愛はあるか」と、いつも自分に問いかけながら、より良い判断を積み重ねるよう日々心がけています。

(2017.11)



天然知能とAI


囲碁、将棋、チェス。私はこれらが苦手です。小学生のとき、ルールを覚えたての私は2つ年上の兄にこてんぱんに痛めつけられました。これらに苦手意識を持っているのは、このときに負った心の傷のせいでしょう。

この5月、囲碁のトッププロが人工知能(AI)に勝てなかったというニュースがありました。過去の膨大なデータから瞬時に最適な答えを導き出すAIに、たった一度の人生で得た情報と知識で対抗することは、素手で重機に挑むようなものかも知れません。この社会は、力仕事を機械に、頭脳作業をコンピューターに頼りながら急速に発展しました。そして今や、コンピューター自身が物事を学習して考える、「AI」の時代となりつつあります。

市役所の仕事においても、AIの活用を想定しています。市に蓄積する大量のデータを深く解析することで、例えば健康寿命の延伸につなげられないかと、考えを巡らせています。

AIの進化は日常生活に驚きの未来をもたらすことでしょう。同時に、私たち「天然知能」の強みは「変革」と「創造」の力だということを改めて認識しなければなりません。そして、この力を磨き上げる子育て、教育が一層重要になるだろうと感じています。

(2017.10)



物忘れ


「えーっと、あの女優。誰やったっけ、あの俳優の恋人役で、なんやらゆードラマに出てた…」こういうこと、ありませんか。

「君に何か言わなあかんことがあるねん。この間、ほら…」こんな発言をしては、相手をポカンとさせてしまうことが多くなってきました。

イヤですねぇ、若い頃はあまりなかったんですが。特に、「この間はどうも」「いえいえ、こちらこそどうも」と答えながら、なかなか名前が出てこないときなどは冷や汗が出ます。

こんな説があります。「歳を重ね、蓄積された情報が膨大になってくると、ひとつの記憶を引っ張り出して来るのに当然時間がかかる。また重要でない情報は、新しい大切な情報を受け取るために消されていくのだ」と。

私もポジティブにそう考えています。それに、情報量が豊かだからこそということがあります。若いときには思いつかなかったようなアイデアが湧いてくるのは、学生時代の体験や仕事で身に付けた知識、家族との日々、特に子育て経験、これらが重なり、結びついてのことなのでしょう。

大切なことがすぐに出てこない際には、「忘れた訳じゃないし。まぁ完全な人間は居ないよな」とひそかに自分に言い訳をしています。

(2017.9)



海に、人に


青一色、無重力の世界。そこにさまざまな魚たちが思い思いに泳いでいる。中学2年生の夏、丹後半島。私は海に出会い、その魅力に一瞬で心を奪われました。

以来、海へのいちずな恋心は変わることなく、東京水産大学に進学。沖縄から東京湾まで年中あちこちを潜り、魚の生態を研究する学生時代を過ごしました。

私の人生の岐路には、その後何人もの「あの人」が登場します。「故郷の吹田市役所で働くべきだよ」「海外の行政調査団に参加してみては」「国際会議で論文発表を」…そのときどきに、思いもよらない高いハードルを設けてくれた先輩たち。そうして今を迎えた私は、はたして誰かの大切な「あの人」になれているのでしょうか。

思えば遠くに来たもんです、あの潮騒の日々から。私は、海から魚から、自分がいかに小さく無力で無知な存在であるかを学びました。

そして、還暦を迎えた今、人生の分岐点にいた何人ものあの人の顔が浮かびます。海に気づかされ、人に育てられ、そうして想像もしなかった今があることに感謝しています。

(2017.8)



Top